日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

2019年12月20日昨日の自分と今日の自分を比べよう


話し方教室ベーシックコースでは、毎回、教室の前に立って2分間のスピーチをしてもらいます。

このスピーチ実習を終えた後、大抵の受講生の方は、少し残念そうな表情をされます。

感想を聞いてみると、

「途中で原稿が思い出せず話が飛んでしまった」

「あがってしまい手足が震えた」

など、しきりに反省点を話されます。

とても謙虚な姿勢ですが、ちょっともったいないなぁ、という気がしています。

 

昨日の話し方教室で、講師が「ぜひご自身のよい点を見つけてください。」と話していました。

私も、同じことを思っています。

「自分で思っていたよりも落ち着いて話ができました。」

「少し高い声で話したら話しやすくなりました。」

このように、自分で前よりもよくなったところ、できたところを見つけて、それを言葉にすることはとても大切です。

 



敢えて自分の長所を探して、それを言葉にすることで、話し方のトレーニングに積極的に取り組めるようになります。

そもそも話し方教室を受講されている方々は、話すことに何らかの苦手意識を持っておられます。

なので、その苦手なことを3ヶ月も続けることには、少なからずストレスが伴います。

そのストレスを軽減し、やがて楽しみに変えていってもらうには、成長実感がどうしても必要です。

 

一般に、人は物事のよいところよりも悪いところに目が行き勝ちです。

同様に、何かを学んだり身につけたりする過程では、自分の理想とする姿と比べて、今の自分のできていないところばかりを意識してしまいます。

そして、いつまで経っても理想の姿に中々近づけないので、途中で学ぶこと、身につけることをあきらめてしまう。

こういうことは、よくあると思いますし、皆さんにもご経験がおありだと思います。

 

人は、何かと比べ、その差を認識することではじめて物事を理解できます。

例えば、就職してはじめてお給料をもらうと感激すると思います。

この時点では何かと比べていないので、そのお給料が高い、低いという概念は持ち得ません。

ところが、学生時代の友人のお給料がいくらかわかった時点で、自分のお給料が高い、安いという意識が生じます。

このように、人は、何かを認識するためには他のものと比べたがるものなのです。

従って、話し方のトレーニングの過程で、理想の姿と今の自分を比べるのは自然なことです。

 

問題は、理想の姿と比べると、励みにならずストレスになってしまうということです。

なので、話し方教室では、どうせ比べるなら、昨日の自分と今日の自分を比較してください、とお伝えしています。

そして、その比べた結果、よくなったところ、できたところを見つけてください、とお願いしています。

先に述べたように、人は意識して見つけないと、自分のよい点を中々認識できません。

そして、よい点を見つけたらそれを言葉にすることで、自分の意識にしっかりと落とし込めます。

講師もスピーチ実習では、よかった点をお伝えするようにしています。

しかし、それ以外に自分でよい点を見つけることを続けていけば、それが自己肯定感につながり、成長努力を続ける源泉になります。

ぜひ昨日の自分と今日の自分を比べて、自分の成長したところを言葉にしてください。
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